超自我の囁き

個人的に読んだ本の感想と考えたことを書きます。

恋をしようよ 2017夏(最近読んだ漫画と感想)

夏になればうだる暑さに冬が恋しくなるが、冬になれば鬱陶しいと感じていた灼熱の日差しが恋しくなったりもする。

就職活動やその後にすぐはじめた某ご当地アイドルのおっかけのせいで(あと研究)全く活字や漫画に触れていなかったので、この夏(うそ、本当は春に読んだものもだいぶ含まれている)(嘘、ほとんど春に読んだ)に読んだ漫画の感想をリハビリついでに書いていこうと思います。

 

 私は数多のトーンや技術を駆使して、いわゆる画集のように美麗な絵を描く漫画(でもデッサンは狂ってる)より、確かなデッサン力を下地にしたシンプルで味のあるキャラデザでストーリーや設定が面白い漫画が好きである。

伝えたいテーマ性があったとしても、それを全面に押し出したりわかりやすいセリフに昇華するのでなく、内側に含ませてこちらにそれを読み取る選択肢を委ねてくれる作品が好きである。

この漫画はまさしくそんな感じで、何の役にも立たない「無用力」といわれる超能力を使う女子高生たちが、その力に振り回されたりある時はその力のおかげで大切なものに気づいたりしながら、私達とほとんど変わらない毎日を送っていく。

超能力が使える女子高生たちが最終的に気づく大切な恋心や友だちへの感謝は私達が感じることと全く同じもので、その過程が異なるだけでこんなにも素敵なストーリー、作品になるのだなあ。

今年の春に最終巻である3巻が出たみたいだけど、読めてないので読まなきゃなあ。

 

春の呪い: 1 (ZERO-SUMコミックス)
 

 ずううっと気になっていたけど、ようやく買ってちょうど春に読みました。

こういうテーマやゼロサムの漫画って、ともすれば中二病高二病で済まされてしまう。でもこの作品がそこにとどまらなかったのは、鬱々とした設定と妹が死んだ重苦しい空気感の中でも、日常時はちゃんと笑顔をみせる明るくコミカルなシーンが描かれ、「春が死んでも、夏美の人生は続いていく」と感じさせる点だと思う。この漫画からは、きちんと生活の香りがする。

この漫画を読んで、村上春樹ノルウェイの森を思い出した。死んだ愛しい人間からの呪いと、喪失を乗り越え生きていくというテーマでは被る点があると思う。

ノルウェイの森では主人公の男は親友の男も愛する女も亡くしていくが、春の呪いでは主人公は亡き妹の恋人と手を取り合い、呪いを受け入れ共に生きていく。喪失と略奪と再生がキーワードになりつつも、全く異なった結末になるのは面白いと感じた。

 

塩田先生と雨井ちゃん2

塩田先生と雨井ちゃん2

 

 「あーん!ひどい!!」とか、ときめきトゥナイト80年代、90年代の古き良き漫画表現が現代チックに昇華されたハイブリット漫画、の、二巻。

一巻は「この作者さんは80年代、90年代の漫画が好きなんだなあ」というフェチがところどころに散りばめられていて、それを楽しみながら読んでいたのだけど、二巻はそちらがいい意味でおちついてストーリーも楽しめることができた。

一番印象的だったのは、一巻から気になっていた雨井ちゃんの家族事情が、はっきりではないものの少し垣間見えるシーン。明るくてすっとぼけな雨井ちゃんも先生に出会って恋をしたから、孤独な魂が救われたみたいなところがあるのかなあなんて想像は尽きないので、早く続編が読みたいところである。

二巻にしておとぼけラブコメからシリアスまで展開できるポテンシャルをみせる、この幅の広さに今後もこの作家さんから目が離せない。